認知症とは

正常に働いていた脳の機能が低下し、物事を記憶したり、思考したりする能力に支障が生じてくる疾患です。これまでは問題なく行っていたことが急に出来なくなったり、いつも歩いていた道が分からなくなったり、大切な約束を忘れてしまったりするので、周囲の方は心配になります。しかし、ご本人には十分な自覚がありません。
このような症状にお気づきの方はご相談を
- その日に食事をしたのかどうか思い出せない
- その日に外出したのかどうか記憶にない
- 財布やクレジットカードなど、大切なものを頻繁に失くすようになった
- 何度も同じことを言ったり、聞いたりする
- 慣れている場所なのに、道に迷うことがある
- 自分が今いる場所が分からなくなることがある
- 薬の管理が出来なくなった
- 以前は好きだったことや、趣味に対する興味が薄れた
- あてもなく辺りを徘徊し、元の場所(自宅など)に戻れなくなる
- 鍋を焦がしたり、水道を閉め忘れたりすることが目立つ
- 突然、怒り出したりする
- 財布を盗まれたと言って騒ぐことがある
主な認知症の種類
- アルツハイマー型認知症
- レビー小体型認知症
- 前頭側頭型認知症
など
アルツハイマー型認知症
アミロイドβというタンパク質が脳に蓄積することにより、神経細胞が減少し、脳の萎縮が進行する病気です。認知症の患者の約6割を占めています。年齢が高くなるにつれて罹患者も増えますが、比較的に若い世代(40~50歳代)で発症する若年性アルツハイマー病も存在します。
主な症状は、物忘れなどの「記憶障害」、時間や場所をうまく認識できなくなる「見当識障害」、計画的に物事を遂行できなくなる「実行機能障害」などです。
レビー小体型認知症
レビー小体というタンパク質が脳に蓄積することによって発症します。実際には存在しないものが見える「幻覚(幻視)」のほか、人物誤認、動作が鈍くなる、転びやすくなる、などが主な症状です。
前頭側頭型認知症
前頭葉と側頭葉が徐々に萎縮していく疾患です。同じ行動を繰り返したり、自分勝手な行動をとるようになったり、言葉が上手く出ないようになったときは、この疾患が疑われます。認知症は加齢に伴って罹患者が増えることが多いのですが、前頭側頭型認知症の場合は65歳未満で発症することが多いと言われています。
認知症の治療方法
認知症を完治させる治療法はまだありません。そのため、症状を軽くし、進行速度を遅らせる治療を行います。この中には、大別して薬物療法と非薬物療法があります。
薬物療法は、ドネペジル、ガランタミン、リバスチグミン、メマンチンなどが用いられます。これらはアルツハイマー型認知症に有効であり、認知機能の改善や認知機能障害の進行抑制が期待できます。
非薬物療法としては、適度に身体を動かす、好きだった音楽を聴く、絵を描く、過去の楽しかった出来事を思い出すことなどにより、脳の活性化に努めます。