高尿酸血症
私たちの血液には、水分に溶けにくい性質の尿酸が存在しています。これが適正値(男女ともに7㎎/dl以内)を超えてしまうと、針状の尿酸塩の結晶が産生されていくのです。この状態が高尿酸血症です。
なお、健康診断などを受けたとき、検査結果報告で「血清尿酸値の基準値は男性3.8~7.5㎎/dl、女性2.4~5.8㎎/dl」と記載されていることもありますが、この数値は参考程度に捉えておいて結構だとされています。通常の条件では、7㎎/dlまでの尿酸は血漿の中に溶け込むからです。
但し、健診での他の検査数値によっては、尿酸による弊害が起こる可能性もありますので、まずは医療機関を受診し、治療の必要性をご相談ください。
痛風とは
高尿酸血症により、結晶化した尿酸が激しい関節炎を引き起こす疾患です。特に、足の親指の付け根が赤く腫れあがり、突然、激しい痛みが起こるケースが多く見られます。この他、足の関節や膝関節、アキレス腱の付け根、手関節に激痛発作が生じることもあります。
最近は治療法が進歩し、正しい治療を受ければ健康的な生活に戻ることが出来ます。しかし、適切な治療を受けずに放置しておくと、様々な部位に結節が広がったり、動脈硬化が進行したり、腎不全や尿路結石症などの合併症を引き起こしたりする重大な病気なのです。
痛風の発作が起こったときは
上述のように、痛風は結晶化した尿酸が増えるにつれて発症しやすくなります。従って、定期的に検査を受け、事前に治療をしておくことで急な発作リスクを軽減できます。
しかし、適切な治療を受けず、突然、痛風の発作が起こってしまう人もいます。その場合は患部を冷やし、なるべく安静にした上で出来るだけ早く医療機関を受診してください。
痛風を予防するには
まずは尿酸の原因となるプリン体の摂取を控える必要があります。プリン体は、肉や魚介類に多く含まれており、特に牛豚鶏のレバー、魚の干物は非常に高いです。一方、野菜や豆類は少なく、鶏卵や牛乳にはほとんど含まれておりません。
アルコール飲料は、プリン体の含有量自体はあまり高くないのですが、アルコールの作用によって尿酸値が上昇します。ビールは血清尿酸値を引き上げる危険度が高いと認知されていますが、その他のアルコール飲料でも同様です。
糖分の過剰摂取も腎臓から尿中への尿酸排泄を妨げるため、尿酸値が上がりやすくなります。甘いもの、果物などを控えることも重要です。
痛風の原因としては、食生活や飲酒が代表的ですが、その他、ストレスが原因となることもあります。腎機能の低下や、血液の病気によって痛風が起こることもあります。降圧利尿薬や喘息の治療薬の中にも尿酸値を上昇させるものがあります。様々な要因がありますので、まずは原因をきちんと把握することが大切です。
高尿酸結晶、痛風の治療
前述した食事療法を行うとともに、必要に応じて尿酸の生成を抑制する薬や、尿酸の排泄を促す薬を内服していただくことがあります。
肥満がある場合は、運動療法も併用し、肥満の解消に努めます。この運動も、やり方次第では尿酸値が上がってしまいますので、注意が必要です。特に激しい運動は尿酸値を一時的に上昇させ、発汗などによる脱水症状でさらに悪化することも考えられます。医師の指導にもとづいて適度な運動を心がけてください。